All Arounder
第15章 Jealous
「誰探してんだ?」
「んーっとねぇ…」
円香は背伸びをして遠くを見ている
退屈すぎて、ついついあくびが出てしまった
と、その瞬間―――
円香は正面から大志に抱き着いた
「…!?」
よろけたものの、倒れないようにと足を踏ん張らせた
それとほぼ同時に、円香の手が大志の顔に伸びると
そのまま唇が重なった
「!!?///」
離そうとするが、円香は全然離れない
それでも強引に…とは思ったが、そうさせなかったのは
All Arounderとしてのプライドだった
―――
『ぁ…』
小さく呟いた姫
口を真横に引っ張り、その瞳には涙が溜まっていた
「あ、あれも仕事のうちだし…」
『もぅ…いいや…』
顔を上げずに引き返そうとする姫を
耐え切れずに
抱きしめた
『っ…///』
「…」
あれ…?
俺、何してんだ?
『た…退斗…離して…』
そうだ
離さなきゃ
しかし気持ちとは裏腹に、抱きしめる力はどんどん強くなっていく
『苦しぃよ…退斗…』
だって
だってよー…
姫ちゃん、泣いてんじゃねーかよ…