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All Arounder

第19章 Tell A Lie





『や…やめて…!!何でこんなことするの!?』



姫は使用人の一人に訴えたが、返ってきた言葉はあまりにも薄かった



「お嬢様にとって、あの男は害です」




『そんなこと、あるわけないじゃん!!』



姫は車から飛び出そうとした



しかし腕を掴まれてしまう




「あの男のためを思うなら、お嬢様が屋敷にお戻りになればいいのです」




『え…』





「そして、あの男が我々を追って来ないよう説得なさったなら…、我々もこれ以上あの男に何もしません」




さあ、どうしますか?


と…
人を試すような目を向けられ、姫は口ごもった







あたしが屋敷に戻れば…





これ以上大志は傷つけられないで済む







『…』





でも…







それって、ここで大志とお別れってことだよね…?
















ドサッ

大志は地面に膝をついた



殴られた腹を抱え込む




「いっ…てぇー」



血の味がした


どうやら口の中まで切れているらしい





ブンッと棒が振り下ろされる



それを手で掴み、捻り上げながら相手の足を払った




「ぐあっ!!」



大志は、横に倒れた一人に跨がり、顔面目掛けて殴り掛かった


しかし、拳が届く前に横から蹴倒される




「っぐ…」




大志も倒れた



腕に力が入らず、起き上がれない





…やべぇんじゃ…ねぇの?






歯を食いしばりながら上を見上げると、棒が振り上げられるのが見えた





「っ…」







ちくしょ…







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