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『それにね、大志…
大志はこの依頼、完了したんだよ？』







「え…？」









『あたし…笑えたの』









大志は目を真ん丸にさせたが、すぐに冷静になった





「嘘つくな…」





『ほんとだよ…黙っててごめんね』





「んじゃ、笑ってみろよ」






『…』





姫は目をそっと伏せ、またゆっくり開いた




その口元を持ち上げようとする






『…ほら…』







何が"ほら"だ…












「馬鹿…それは泣いてるっつぅんだよ」




大志は姫の涙を拭った




とめどなく流れ落ちる涙は、大志の手をも伝っていく






『…泣ぃて…ないもん…』





姫は自分でも涙を拭いた






「…３０億は、どうなんだよ？」





『また…届けに行こうかな…』





「…」





All Arounderとして



依頼がこなせ、報酬もきっちり貰えるってんなら


それで充分





依頼人がもとの家に帰ると言うのだから、そこは帰してやるのが道理




けど…






「オレは…納得できねぇ」





お前がどれだけ"笑えた"と言おうと
オレはまだ、ただの一度もお前の笑顔を見てねぇんだ




笑うように言ったのに泣くような奴の言うことなんか…
聞けねぇよ








『大志…』






姫がゆっくり立ち上がると、大志は姫を見上げた















『…ありがと』