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All Arounder

第21章 Forbidden Love




「姫ちゃんひでー、そんな即答なしだろー」



井上は泣きまねをしながら、テーブルに頭をついた




「まあでも…よかったな、笑えるようになって。
ほら俺からのおごりだ」



マスターは姫の前にレモンティーを出した




『ありがとうございます』




自分が笑うと笑顔が返ってくるが、それを見るのがここまで嬉しいものだとは

今まで全然知らなかった





「じゃーよ、大志は報酬もらったのかー?」



井上はテーブルに顔をついたまま、大志の方を向いて尋ねた




「もらってねぇよ」




「え!!?」




ガバッと起き上がると、大志の肩を掴んで揺すった




「何でだよ、30億だろ!!?
もらわねーなんてありえねーだろ!!」




「うっせぇな…」




大志は井上の手を払うと、ちらっと姫を見た




「…報酬より大事なもん…あんだろぅが」





「…」





井上は口を尖らせた



そしてつまらなさそうに、椅子に座り直した






「金、欲しかったんか?」





「…いーや…」






大志が姫を見た時、変に悔しかった




大事なもんって、…姫ちゃんか?




その"大事"ってのは




俺が姫ちゃんを想ってるのと同じ"大事"なのか?




…だとしたら…






「うかうかしてちゃ、いられねーな…」




「あ?」




「何でもねーよ」




井上は、コーヒーを一口飲んだ



と、その時…








カランカラン






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