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All Arounder

第23章 Affection






「ほんとに…大きくなったね」



ゆうひは大志の背中に手を置いた




「まあな」




「昔はあたしの膝の上に乗ってたのに…」




「乗ってやろうか?」




「潰れる潰れる」




ニコニコとしていたゆうひの顔から、フッと笑顔が消えた




「大志…家出てっちゃうの?」



「…ああ」




「冗談じゃなくて?」




「マジだ」




するとゆうひは、大志を抱きしめた



何年ぶりかの母親の抱擁に、大志も言葉が出ない






「何があったかは聞かないけど…母さんつらい」




「…ごめん」




「斉藤の子だから、何かしでかすとは思っていたけどね」





不安定な母さんの声も…ずっと聞いていなかった






「大志…これだけは、忘れないで…」





抱きしめていた力が、より一層強くなった












「斉藤は…あんたをちゃんと、愛してたから…」













…愛してた…?







「ほら斉藤って…言葉遣いも性格もひん曲がってるからさ…、大志には伝わりにくかったかもしれないけど…」





「…」






「ちょっとでいいから…わかってあげて…」






耳元でしゃくりあげる母さんを



恥ずかしさまじりで




そっと抱きしめた






「母さんが泣くようなことじゃねぇだろ…」





「だって…だって大志ぃ…、いなくなっちゃぅ…や…だよぉ」




「…」





親父はきっと



母さんのいろんな面を知ってんだろうな…




笑ったり怒ったりするとこだけじゃなく



こういう、弱いとこも…












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