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All Arounder

第23章 Affection


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『…すいません』



姫が扉を開けると、斉藤はハッとしたように顔を上げた




「…、姫ちゃんか」




『あの…』




姫は斉藤のそばまで行った




「ん?」



『えっと…』




慰めるって…どうしたらいいんだろ?




オロオロとしている姫を見て、斉藤は苦笑した





「まぁ、座りな」



『あ…はあ…』




姫が隣に座ると、斉藤は前を向いたまま口を開いた






「前は…ごめんな」




『え?』




「ほらあのー…
キスとか…///」





自分で言って照れる斉藤




ほんとに可愛いな…この人





『いえ…大丈夫ですよ』




姫が微笑むと、斉藤は安堵の表情を見せた




「ありがとな…」





斉藤はふっと目を閉じた




どうしようもない後悔の念が、足元からふつふつと沸き上がってくる




「っ…」




斉藤の頭が、コテッと姫の肩にもたれた




『さ…いとうさん…?///』





「オレ…馬鹿だからさ…」






"…口、切れちまう…"






「親らしいことって、何してやったらいいんか…わかんねぇし…
やってたつもりが…出来てなかったし…」







"お口、血が出ちゃうよ"










「せめて…一回くらい…って思って…」






大志は




あの時と変わらなかった





全然…変わっていなかったんだ…








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