All Arounder
第23章 Affection
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カーテンの隙間から、ほのかに光が差し込んだ
何となく渇いた空気は、二度寝に誘おうとはしなかった
細く開けた瞼をもう少し開け
部屋をボーッと眺める
いつもよりかは、少し綺麗になった自分の部屋
綺麗になったと言うよりかは、置いてあったものが減ったからそう見えるだけで…
実際は、綺麗になったわけではない
「…姫」
『んー…』
呼び掛けると、姫は返事した
起きたばかりなのか、どこか鈍臭い返事だ
「行くぞ」
『…うん』
姫はベッドから下りると、用意しておいた荷物を肩に提げた
大志も残りの荷物を全て持つと、部屋を出た
二人が1階へと下りると、玄関の所で斉藤が座っているのが見えた
「…」
大志が何も言わないので、姫が『おはようございます』と言う
「お、姫ちゃんおはよう」
斉藤が振り向くと、大志は喧嘩腰に言った
「何だ…えらく早ぇじゃねぇか、嵐でも来るんじゃねぇの?」
「来るわけねぇだろ、ぶぁーか」
斉藤は立ち上がると、二人に道を譲った
大志と姫は靴を履き、荷物を持ち直す
その様子を、斉藤は黙って見ていた