All Arounder
第23章 Affection
「どうしてやったらいいか…わかんなくてよぉ…
何とか守ってやりたかったけど…それも出来ねぇで…」
斉藤の声は、嗄れてしまっていて
姫の腕は
自然と斉藤を抱きしめていた
大志のお母さんが言った通り…斉藤さんは、溜め込んでいた
今はそれが一気に溢れだし
感情の代わりに、涙を流していた
「ダメだオレ…もう刑事でも父親でも…何でもねぇよぉ…」
おかしな光景だ
年の差は親子ほど
けれど本当の父親じゃない人が
あたしの腕の中で泣いている
『…斉藤さんは、少なくとも立派な父親ですよ』
「違う…オレは大志に…何もしてやれなかっ…た…」
『そんなことないです。
子供のために悩んだり、子供のために泣いたり出来るのは…立派な親の証です』
姫はそっと斉藤の頭を撫でた
『こんなに素敵な父親…なかなかいませんよ』
「…」
斉藤は姫の腕をキュッと掴んだ
『…///』
…ほんとに、子供みたい
しばらく
斉藤の涙が止まるまで
姫は、ずっと斉藤の頭を撫でていた