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All Arounder

第5章 Fusion Mission



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月明かりが世界をほのかに照らす夜



この豪勢な屋敷もまた、ぼんやりと照らされていた





しかしその静寂の中で動く二つの影



目で見なければ、そこにいることが認められないほど
音も立てず…
ただ流れるように、屋敷の裏口へ回って行った








「排気口はどこだ?」



「確かこの辺に…」



井上は手探りで壁を触っていった


すると、格子のようなものを掴んだ



「これか」



音を立てないように、ゆっくりと外す


格子は思ったより簡単に外れ、ぽっかりと穴が出来た


人ひとりが通るのには充分な大きさで
ずっと上まで続いていた



「…行くか」



大志は手袋をはめた


特別、滑り止め加工の手袋で、今日のために持ってきたものだ


井上も手袋をはめ、二人は両手両足を使いながら排気口の中を上っていった
















「…」



1番上まで上りきると、ところどころ下から光が差し込んでいる


各部屋の電気の明かりが、換気扇から入っているのだ



大志は井上に顎でサインし、先へと進んだ







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