All Arounder
第31章 Have A Gun
「七香…どうしたんだよ七香!!?」
「…退…斗」
七香は苦しそうに胸を押さえながら、ゆっくり呼吸した
「苦しいのか!?
早く…病院行こう!!」
「平気…心配かけて…ごめ…」
七香の優しい手は、俺の頭をポンポンと叩いた
どう見たって平気ではない
けれど、七香がそう言うのなら…
「七香、今日はバイト休もう」
「ダメだよ…それは…ダメ…」
テーブルに手をつき、七香はふらつく体を起こした
「お待たせ、退斗…酒場、行こ」
「…」
その日は酒場に向かうことにした
しばらくすると、だいぶ楽になってきたようで
さっきのような苦しそうな様子は見せなかった
…しかし
家に帰れば仕事の緊張が解けるのか、毎日のように七香は苦しんだ
そんなことが、数ヶ月続いたある日…
ガシャンッ!!
落ちた衝撃で割れた皿は飛散し、中に入っていたコーヒーも飛び散った
それと一緒に、七香も倒れ込む
「七香ちゃん!!?」
驚いたマスターは、急いで七香を抱き起こし
俺は「やっちまったな…」と心の中で呟いた