All Arounder
第32章 Go Mad
『あーおいしぃ』
姫はコトッとカップを置いた
今はマスターが入れてくれたココアを堪能していたのだ
「姫ちゃんは美味しそうに飲んでくれるね」
『だってマスターの出してくれるもの、全部美味しいんだもん』
二人が喋っていると、大志と井上が酒場に入ってきた
「任務完了ー」
『お帰り、仕事上手くいった?』
二人はカウンター席に座り、マスターに飲み物を注文した
「まぁ、上手くいったかな」
大志がそう言うと、マスターは「お疲れさん」と飲み物を出した
「思ってたより簡単な内容でよかった…」
ふと姫の顔を見た大志は、小さく吹き出した
『えっ、何?』
「姫、口の端にココアついてる(笑)」
『ぇえっ、こっち!?』
「違う、反対」
大志は親指で、グイッと姫の口についたココアを拭った
『///』
「よっしゃ取れた」
『…ありがと///』
ガタ
と、突然井上は席を立った
「退斗、どこ行くんだ?」
「…昼寝」
そのまま奥の部屋へ入り、バタンと扉を閉めた
「…最近井上、様子が変じゃねぇか?」
『…どう…だろ?』