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井上が言った通り、１時間も掛からないうちに目的地に着いたようだ


しかし町からはかなり離れ、えらく山奥に入った




「ここか？」



「ああ」




小さな駐車場が設けてあり、井上はそこに車を停めた




『山の中なんだぁ…』



「まあな、少し歩くぞー」




車から下りると、大志と姫は井上を先頭に歩いていった





しばらく歩くと、寺が見えてきた


質素で、しかも年季の入ったものだったが

その寺を支える柱はどっしりと構えてあり
ちょっとのことじゃびくともしなさそうだ




三人が石畳の上を歩いていくと、ちょうど目の前をお坊さんが通った




「あ、すんませーん」



井上がそのお坊さんに向かって声をかける




「はい…あ、井上さんじゃないですか」



お坊さんは朗らかな顔をして、井上に会釈した





「…」



まさか井上が会わせてぇ人間って、この坊主か…？