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All Arounder

第38章 My Heart Beating





男の体がどんどん密着していく



『いやっ、離して…!!』




姫は男を突き放すつもりが、勢い持っていた薬品まで、男の服にこぼしてしまった




瞬間、何か鈍い匂いが嗅覚をくすぶる



その薬品を見た男の顔は、一気に血の気が引いていった





「そ、それは"CC5"じゃないか…お前なんてことを…!!
う、うわあぁああ嗅いでしまった!!俺のがぁああああ!!」



男は急いでトイレへと走っていった






『大志、これ!!』




《ああ、当たりだ》




姫は用意しておいた瓶に、残った"CC5"を詰め替え蓋をして、
何重にも何重にも袋で包んだ




最後に、コンパクトな分厚い鞄にそれを突っ込み、急いで研究室を出た
















姫は辺りをキョロキョロと確認すると、倉庫に入った



『大志、やった!!』




「ああ、お手柄だ」




大志の満足そうな笑顔に、姫も口元が緩んだ




「あとはここを出るだけだな…」



そう言いながら、大志は出したパソコン等を片付け始めた




姫も手伝おうと手を伸ばした時、倉庫の扉がガチャンと音を立てた




!!??





二人とも驚いて振り向いた




しかし、開けられたというわけではないようだ






「…待てよ?
今…9:30!!?」



大志は扉に手を掛けた



しかし扉はびくともしない






「…やられた」




『え…?』




「ここの会社、9:30にはどこもかしこも施錠しやがるんだ…」














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