All Arounder
第44章 Is There No Love?
「あ…///」
井上は喉を鳴らした
もしもう一度、葵が少しでも触れてきたなら
自分はもう、自分を制御出来ないとわかった
「な…何なんよ…ちょっと心配しただけやんか…」
「しゃべんな…頼むから…」
「ひど…そんなんやったら…初めっから泊まろなんてせんかったらよかった…!!」
葵は立ち上がってソファーの方へ向かおうとした
「ちがっ…そういう意味じゃ…!!」
と、葵の腕を引っ張ってしまった
その時振り返った葵の、どうしようもない寂しそうな表情に
我慢出来なかった
強引にその腕を引き、肩を押して床に倒した
「た…退斗…!?///」
何に構うこともなく、その首筋にしゃぶりつく
髪から漂うシャンプーの香りが、余計に自分を駆り立てた
「やっ…だめっ!!///」
葵は押し返そうとするが、井上はその手を床へ押し付ける
固いフローリングに手首の骨がゴリゴリと当たり、痛かった
「退斗っ…なぁ…!!///」
井上は耳たぶを甘噛みし、飴のように頬を舐める
「いややぁ!!///」
葵の目尻から
涙がこぼれた
「っ…」
その瞬間、井上は葵から離れ、また背中を向けてあぐらをかいた
葵は涙を拭うと、体を起こした
「退斗…何で…」
「頼むから…俺のこと…何にも触れんな…」
後ろから見た井上は、頭を落とした