All Arounder
第46章 Examine For Examiner
「ところで、今回の報酬はいくらだったんだ?」
酒場の前まで来ると、大志は井上に尋ねた
「ああ、実は前払いで、もう貰っちまったんだ」
カランカラン
「あ、退斗ぉ、お帰りい!!」
明るい声と、明るい笑顔が目に飛び込んでくる
「で、いくら?」
葵は井上に飛びついた
井上はこけないように足を踏ん張らせる
「値段をつけらんねーくらい、いいもん貰った」
井上はそっと、葵の頭を撫でた
大志はそれを見て、
「なるほどな」と呟く
「退斗聞いてぇな、姫ちゃんがうちにくそマズイもんを食わそうとしやんねん」
『酷いよ葵ちゃん、あたしの料理がマズイだなんて…』
「だってほんまにヤバかったで(笑)」
ケラケラと笑う葵に、井上は言った
「葵、お前、もう大阪帰らなくていいからな」
「へ?」
突然の発言に、葵は目をぱちくりさせる
「っつーか、帰ったら許さねぇ」
「…どゆこと?」
ポカンと口を開ける葵を、井上はギュ~っと抱きしめた
「たっ、退斗…!?///」
「今回の依頼の報酬で…お前を貰っちった///」
葵は一瞬わけがわからなくなったが
すぐに井上の体を抱きしめ返した
「た…いと…退斗ぉ…」
「はいはい、泣くな泣くな、一緒にいてやっからよ」
「ずっとやで…ずっと…退斗ぉ…大好きやぁ…///」
ボロボロとこぼれ落ちる涙を、井上は拭ってやった
「俺も…葵が好きだから…///」