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All Arounder

第46章 Examine For Examiner



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「待て、こそ泥どもがぁあ!!!」





「待てって言われて誰が待つかよ!!」



「ごもっとも」





大志と井上、そして斉藤は、鬼ごっこの最中だった




街中を延々と走り回る






「大志の親父さん、年いくつだよ?
めちゃめちゃ元気じゃねーか」



「あのジジイはそれくらいしか取り柄がねぇんだ」





「しっかり聞こえてんだよ馬鹿野郎!!」



後ろから斉藤は叫ぶ





「…まくか?」


「おう」




そう言うと、二人は人混みの中へ飛び込んだ





「あ、くそ…!!」





斉藤も飛び込んだが



完全に見失ってしまった






「あーちくしょ!!」



近くにあったごみ箱に、八つ当たりで蹴りを入れる




大きく息を吸い込むと、ゆっくりそれを吐き出した






「…元気にしてんじゃねぇかよ…」






それ以上は追わずに






斉藤は来た道を引き返した














――――――
――――――






「とりあえず、一件落着だな」



井上は腕を頭の後ろで組み、鼻歌を歌った





「どこがだ、依頼は成功させてねぇじゃねぇか」




大志はどこか納得いかないようだ






「俺は他人の家庭事情なんてどうでもいいんだよ」




「そこが三流なんだ、自覚しろ」








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