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「葵、今日は二人で外食しねーか？」




「ええけど…何でや？」




井上は、カクテルを掻き混ぜながら微笑した





「何でも」




「退斗がそうしたいんやったら…ええけど」




何でか、という理由まではわからなかったが、葵はとりあえず了解した




「じゃあ姫にも伝えねぇと」




大志はハッと思い出したように顔を上げた




「大志、お前話聞いてたのか？俺は葵と二人で外食すんの」




「え、あ…そっか」





大志は軽く頭を掻いて、ハァッとため息をついた





仕事中以外で姫が一緒にいない時なんて、滅多にない



だから余計、大志は今、姫がどうしているのか気掛かりだった




「…保護者じゃねーんだから」



井上は大志の背中をポンッと叩く




大志はただ黙って頷いた










そんな心配げな時間もあっという間に過ぎ



外は暗くなってきた





「じゃあ大志、俺らは食ってくるから」



「姫ちゃんのために早ぅ帰ってあげてや～」





遠くで手を振る二人と別れ、大志は急ぎ足で帰路についた











…姫…やんなきゃなんねぇ用事ってなんだろうな…




どうせろくなことではあるまい、とやはり心配な面持ちで


大志は玄関の扉を開けた