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結局、時間は来てしまった



「もうすぐ４時だなー…」



井上は姫がいる部屋をボーッと眺めながら言った


姫はと言うと、朝からあの部屋に閉じこもりっぱなしだ




「…」


まだ笑えずにいるから


自分の顔をつねっているのだろうか…









カランカラン




とうとう扉が開いてしまった



「西浦姫は、誘拐できたか？」


依頼人の登場だ




「大丈夫っすよ」



「さすが、頼もしいな」



…何が"頼もしい"だ


昨日、他に数人雇っていたくせに…




「で、西浦姫はどこだ？」


前よりたくさんの男たちを引き連れて来た矢車…

何をそんなに連れてくる必要があるのか…



「あっちにいます」



大志はゆっくり立ち上がり、奥の扉を開いた



中を覗くと、姫はこっちを向いた


椅子に腰掛け、まるで今から死刑台に送られる囚人のような面持ちで

こっちを向いたのだ




『時間？』



「ああ」



大志は姫の腕を掴んで立たせた

そして


呟いた




「オレはAll Arounderだ…報酬によっちゃあ、どんな仕事も引き受ける」




『っ…』



姫は大志の顔を見上げた



何か言いたそうだったが、ぐっと堪えて飲み込んだ