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大志と姫が部屋を出ると、酒場にはたくさんの男たち


矢車はニヤリと笑い、姫を手招きした




『…』



姫は怯える様子もなく、目の前に映るものをただ眺めていた


しかしそれは外見上



見えないところでは、大志の服を掴んだままだった



「…ちゃんと連れてきましたよ」



「ああ、確かに西浦姫だ。ご苦労様」



矢車はまた姫を手招きする



姫はちらっと大志の様子を伺ったが
大志は矢車の方を見たままだった




『…』


深呼吸し、姫は矢車の元へ歩き出した



と


その時、大志は姫の手を掴み自分の方へ引っ張った



『…??』



「矢車さん…依頼品は報酬１億と交換だ」



大志の突然の申し出に、矢車の顔は濁った



「後で払うさ」



「いいや、今この場で交換だ」



大志は譲ろうとはしなかった




「All Arounderよ…」



矢車は大志に憐れみの眼差しを向け、続けた





「初めからお前たちにやるような金などない」





周りの男たちは一斉に銃を取り出し、大志と姫を取り囲んだ




『え…』


姫は思わず後ずさった



「フフフ、１億なんて大金をお前みたいな小僧に渡すと思ったか？
甘いな、世の中をわかっていない」



「…」



大志は辺りを目だけで見渡した


「まあ…そんな気はしてたけどよ…矢車さん、これであんたとの契約は解除だ」



「契約だって、初めからした覚えはないな」



矢車は勝利を確信してか、またニヤリと笑った