All Arounder
第8章 Make You Smile
―――――――――――
「…」
『…』
いつも大志は、酒場までは徒歩で来ている
だから今は姫と並んで家へ向かっているわけだが…
喋るような話題も思いつかず、とりあえず気まずかった
『大志…だったっけ?』
突然姫が喋り出したので少し驚いたが、そこは何も動じていない振りをした
「ああ」
『…上の名前は?』
「斉藤だ、斉藤大志」
『ふーん…』
30分歩き続けて、喋ったことはたったこれだけだった
――――
そのうち、大志の家が見えてきた
…気が重い…
一体どうやって家族を説得しよう…?
とうとう玄関の前まで来てしまった
「…」
ゆっくりと扉を開けると、偶然母さんが目の前にいた
「あ、大志お帰りっ、あたしも今帰ったばっかりな――…」
そう喋りかけた母さんの顔が固まった
「…その子…」
母さんの目は姫に集中していた
「あ…こいつは…」
「やぁっと彼女連れて来たなぁ~!!
さすがあたしの息子!!」
…ああ…はい、じゃあそれでいいや…
「まぁ…今晩家に泊まってくから…」
「ありゃ!!///
じゃあ早くご飯の準備するから、待っててね」
母さんはせかせかと台所へ向かった
『…お母さん?』
「ん…まあな」
大志はとりあえず、姫を家に上げた