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All Arounder

第9章 A Couple of Night



――――――――――



『―――…あいつらの目的は、身の代金だった
あたしを人質にしたのは、お父様が財閥の社長だから…』



姫は自分の腕を掴んだ




『結局あいつらは皆捕まったけど…
あたしは…』




震える体に



何をしてやったらいいのだろうか…





『それからは…笑わなくなった。
笑うことが怖くなって、もうあたしは…笑えなくなってた…』




大志はそっと姫の手を握った



握ってくれた手は温かく、あたしの手が冷えきっていたことがわかった





「…つらかったな」





その一言は





あたしを崩してしまうのには、充分だった









姫は堪らずベッドから下り、大志の胸へ飛び込んだ




「っ…姫…!?///」




勢いで後ろに倒れそうになったのを
大志は手をついて、体を支えた



『…』




姫はそのまま、動かなかった




大志も姫自身も、姫が一体何を求めているのかがわからなかった





「…」




大志はゆっくりと座り直し、姫の体を包み込んでやった





泣いてはいないだろう



まして、笑ってなどいないだろう




とりあえずこの悲しみを、少しでも楽にしてやりたかった











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