All Arounder
第10章 Parent And Child
それにしても、この体勢は苦しい
頭を抱え込まれ、首から下は反り返っているようになっている
…近くに寄ったら
苦しくないかな…///
姫は何となく、体を斉藤に寄せようとした
しかしそれを止めたのは、姫の良心だった
『…すいません…離してください』
「へ…?」
斉藤はぼんやり目を開いた
「!!?
姫ちゃ…!!えっ、あ…わりぃ!!」
急いで姫を離すと、斉藤はその場に座り直した
「マジで悪かった…!!
顔突いてきたから、てっきりゆうひかと思っちまって…」
申し訳なさそうに頭に手をやる斉藤を見て
逆にこっちが申し訳なくなった
『いえ…あたしも、突いてすいません…///』
「はは、オレは別に、何とも思ってねぇからよ」
嫌なことも…全部吹き飛んでしまいそうな笑顔…
いいなぁ
「…どうした?」
『え?』
「浮かねぇ顔して…緊張でもしてんのか?
昨日から困ったような顔しかしてねぇじゃねぇか」
…困った
顔…
『そうですか…?』
こういう時に人は…愛想笑いでもするんだろうな…
それすらもあたしは
出来ない…
困った顔しか
向けられないのか…