狼と白頭巾ちゃん
第16章 あなたの隣で…
ライラはその後、
シンを見たと云う人が、村中に話していた事や、獣狩りをしようと言い出す人がいた事などを話し、
ライラがこれからまた森に会いに来る代わりに、
「危険だから、もう村に来ちゃダメよ⁈」
と、シンを説得した。
初めは不服そうにしていたシンだったが、ライラの必死な説得で、渋々ながら了解した。
但しあと一度だけ村に行くことを許す、という条件付きで。
そこだけは、ライラがどんなに言っても、シンは頑として聞き入れなかった。
「俺は、ライラの云うことを嫌々聞くんだから、ライラも一つくらい俺の意見を聞いて欲しい」
そう言われてしまうと、ライラももう何も言えなくなってしまい、一度だけ、ということで納得したのだった。
それから二人は、シンがライラに届けた木いちごを仲良く食べながら暫らく過ごし、
小道へと帰るときには、またシンがライラを腕に抱いて、森を駆けた。
別れ際、ライラはシンにいつ村に来るのか聞いたのだが、
シンは…、
「まだもうちょっと先かな?」
と言うばかりで、それがいつかは教えてはくれなかったのだった。