狼と白頭巾ちゃん
第17章 突然の雨で…
「え?今から?」
「そうだね、もう少ししたら降り出すだろうね」
顔を上にあげて風を匂うと、露とは別の雨特有の匂いが、シンには微かにして、
ライラに何をしているのか聞かれたシンは、彼女に、もうすぐ雨がふるよ、と言った。
二人は今、泉のそばにいて、他愛も無いお喋りに花を咲かせている。
シンが姿を見せてからというもの、それが二人の日課となっていた。
「そんな事まで分かるだなんて、シンは凄いのね!」
「ふふっ。もう少ししたら、ライラにも分かるんじゃないかな?」
ライラはシンの事で新たな発見をする毎に、嬉しそうにはしゃぎ、
シンはそんな彼女の傍らで、目をキラキラさせる彼女を、愛おしそうに見詰めた。
たまにふっと会話が無くなる瞬間があり、そんな時はお互いを見詰めあって、どちらからとも無くキスを交わした。
ライラの胸にはそんな時、締め付けられるような、でもふわふわするような、暖かい不思議な感覚が広がって、胸をいっぱいにしていた。
それがとても心地よく、シンが唇を離すのが物足りない…、段々そんな風に思うようになっていた。
(そのまま、口と口がくっついちゃえばいいのに…)
うっとりしながらも、物足りなそうな顔でシンを見詰めると、また優しいキスが降ってきてライラを幸せな気持ちにさせた。
そうして夢心地でシンに寄り添っていると、急に空が暗くなってきて、ライラにも雨が降るのが分かった。
「シンの言ったとおりね。今にも降ってきそう…」
ライラが言い終わらぬ内に雨粒が落ちてきて、あっという間にそれは大粒の雨へと変わった。
「やっ。ビショビショになっちゃう!」