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狼と白頭巾ちゃん

第3章 思惑と戸惑い

言いながら、シンは少女から自分の足元に目を移し、言い訳が上手くいったのか不安になりながら、少女の返事を待っていた。

が、一向に返事が無く、そおっと少女を窺うと、何故か俯きながら、肩を震わせていた。

シンがその姿に驚いていると、更に、頭巾に隠された少女の目から、ホロホロと雫が溢れ出したのだった。

「どっ、どうしたんだい?大丈夫かい?」

声も無く、ただ肩を震わせながら泣く姿に、襲おうとしていたことも忘れ、シンは本気で少女を気遣っていた。

「ねぇ、本当に大丈夫?泣くほど辛い事があるなら、もし良かったら話してみないかい?もしかしたら、少しは気が晴れるかもしれないよ?」

シンは本当に心配していた。声色が、それまでと違っていた事に本人すらも気付かないほど。

そしてその気持ちは、少女にもしっかりと届いていた。

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