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狼と白頭巾ちゃん

第8章 それぞれの想い

「ライラ…!」

シンは、胸の奥から込み上げてくる感情を、抑えることが出来なかった。

その感情は、一筋の涙となって彼の頬を伝った。

思い返せばシンは今迄、彼から逃げてゆくモノとしか出会わなかった。

誰も彼もが、彼を見ると逃げて行った。

逃げられないように潜んで声を掛けても、それは同じことだった。

姿無き声は、どんなに優しくしても、相手に警戒心を与えこそすれ、安心感などは与えない。

相手に逃げられる前に、だから彼は、すかさず狩りをした。




…シンが怯んだのは、ライラが初めてだった。

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