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狼と白頭巾ちゃん

第1章 出会い

ライラは涙を拭い終えると、キッと前を見据え、しかし、すぐに悲しそうな表情で俯くと、また、トボトボと歩き出した。


(…ふぅん……?)

…彼女は全く気づいていなかったが、その一部始終をシンが木の上から見ていた。

白い頭巾を被り、手にはカゴを持ち、フワフワ揺れるスカートを纏う少女。

ちらりと見えたその顔は、少女と呼ぶには大人びて、けれど、風に乗ってふわりと香り、鼻をくすぐるのは、少女特有の、ミルクのような甘い香り。

シンはしばらく目を閉じて、鼻の奥に残る香りを楽しむと、何かを思い付いたようにニヤリと口の端をあげ、そっ…と木から降りたのだった。

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