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狼と白頭巾ちゃん

第10章 光の中へ…

ライラの目にはもう、段々と広がってゆく光の塊しか見えていなかった。

足元の覚束ないなか、多少小走りになりながら、ライラはその光に向かって進む。

待ちきれないという様子の、ライラの表情を見て、シンは…、

(ここから先安全なのは分かってるし、そろそろいいか…)

そっと脇に避けて草むらの中に身を潜ませると、目をキラキラ輝かせ、息を弾ませ自分の横を通り過ぎてゆくライラを、眩しげに見送った。

そしてシンは目を細め、光の中に溶けてゆくライラの後ろ姿を見守りながら、想いを馳せた。

(ライラ…、君はなんて純粋で良い子なんだろう…)

光の中のライラは、輪郭がぼやけて幻のように映った。

周囲の影が濃い為か、光はより一層眩しく感じられる。

それでも、彼女はその頭巾の白さと相まって、光に負けない、けれど、刺す様な日の光とはまた別種の、柔らかい優しい輝きを放ってそこに存在していた。

そして、やがてその柔らかい輝きは、日の光に吸い込まれるようにして消えていった。


……シンは、また嘲笑った。

この、闇に潜む我が身との、哀しいほどの違いはどうだ…と。

シンはふっ…と目を逸らし一度足元に目をやると、また薄っすらと寂しげな笑みを溢した。

そしてそのままのっそりと起き上がると、ゆっくり、ゆっくりと、ライラに向かって歩き出した…。

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