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狼と白頭巾ちゃん

第10章 光の中へ…

ー時間は進み……ー


ガサガサッ、ガサガサッ。

草むらを掻き分けながら、ライラは森の奥へと歩みを進めていた。

その少し先を行くシンは、チラチラと何度も後ろを振り返り、ライラがちゃんと付いて来ているか確認しながら、彼女を森の奥へ奥へと誘っていた。

足元に気を付けながら進むライラは、薄暗い木々の間から漏れ聞こえる、シンのモノと思われる草を揺らす音を頼りに歩いていた。

足元ばかり気にしている為か、彼女は度々方向を見失い、その都度シンに声を掛け誘導してもらっていた。

シンのほうからも度々声を掛け、また、比較的なだらかな場所を探りながら歩き、彼女が疲れたり、怪我などしない様、注意を払っていた。



ライラは最初、声だけで案内しようとするシンに、何故姿を見せてくれないのかと、少し不満げに問いかけた。

怖がらないと言っているのに、と。

ライラは、出来ればシンの顔を見ながら、楽しく笑いあって歩きたいと思っていたからだ。

けれどシンには、流石に好意を抱く少女に醜い姿を見せる勇気迄は出てこず、ライラに何度も謝りながら『それだけは出来ない』と、断っていた。

ライラも辛そうに話すシンの様子を察して、それ以上お願いする事が出来ず、今の状況に至るのだった。


暫くして………


ライラの額に薄っすらと汗が滲み、少し息が上がってくる頃だった。

ライラがふと目を上げると、遠くに微かな光が見えた。

「…もうすぐだよ」

先を見つめるその視線に気付いたのか、シンが優しく声を掛ける。

「うん!」

ライラは元気よく返事をし、その足に一層力強さが増した。

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