狼と白頭巾ちゃん
第11章 一面の花園
「ふ、わあぁ〜……」
暗い森から光の中に飛び出したライラは、感嘆の声を漏らした。
初め、眩しい光の為に目が重くなって、堪らず右手で目を隠していたライラだったが、段々と光にも目が慣れて。
次に光の代わりに彼女の目に浮かび上がって来たのは、草原いっぱいに広がる、色とりどりの可憐な花々であった。
暗い森の中で、そこだけぽっかりと口を開けたようになだらかな丘陵となっていて、ぐるりと見渡すと、少し先に、小さな泉も見えた。
また、視界の全てを埋め尽くす様な花々の上では、蝶々がひらひらと踊っている。
彼女の鼻をくすぐるのは、露に濡れてほとばしる草花の、瑞々しい青い匂いと、今が盛りと咲き誇る花々の、蜜がもたらす甘い香り。
草は風に揺られてさやさやとなびき、泉からこんこんと湧き出る清水は小さな川を作り、さらさらと流れて、ライラの耳を楽しませた。
(まるで夢の中にでもいるみたい…)
ほうっと溜息を吐きながら、ライラはそろそろと草原に足を踏み出した。