狼と白頭巾ちゃん
第12章 約束
結局その後の2人は、往き道の時と同じように、必要な時以外会話もせず、しかし、往き道の時とは明らかに違う空気を纏って、小道へと帰って来た。
そして、小道にライラを送り届けると、シンは去ることもなく木陰に佇み、ライラもまた、去ることなく、2人は向き合った。
「……………」
「……………」
「じゃっ、じゃあ、そろそろ私、行くね?」
ライラが意を決して言うと、
「あっ、あぁ」
シンはぎこちなく返事を返した。
その返事を待って、ライラがシンに背を向けた時…、
「あ、明日も!」
シンが彼女を呼び止め、
「明日も…、待ってる…から」
そう小さく囁くと、ガサッと音を立てて彼は去って行った。
そして、ライラは薄く頬を染め、俯きながら呟いた。
「うん。明日も…」
それから彼女は、お婆さんの家に向かって歩きだしたのだった。