狼と白頭巾ちゃん
第14章 無意識の誘惑
ライラが次に目を開けた時、彼女は何故か元の小道にいた。
脇の木に身体を預けるようにして、膝を折って座った状態で、ライラは目を覚ましたのだ。
思考がぼやけて定まらぬ中で、ライラは目をとじる前に起こった出来事を思い出そうとした。
しかし彼女は今小道の傍らにいて、目に入る景色が思考の邪魔をする。
(…あれは…、夢……?)
覚醒するため目を擦ろうと手を上げた時だった。
カサリと音がして、何かが腕に触れた。
…それは、膝の上に置かれた小さな花束だった。
茎の下の方を、細い蔦で不器用に纏められた花束を見て、
ライラはすぐにそれがシンの手に依る物だと気付き、
同時に、
あの出来事が、夢では無かった事を知った…。