狼と白頭巾ちゃん
第16章 あなたの隣で…
キスで気持ちを確かめ合い、互いに頬を染めた二人はまた暫らく抱き合っていたが、
やがて身体をゆっくりと離し、次に手を繋いで、野原を歩き出した。
照れ臭いのか、お互いそっぽを向き無言のままだったが、二人の胸は、何故か満たされた気持ちであった。
やがて泉のそばまで来ると腰を下ろし、二人はコポコポと静かな音をたてるのを手を繋いだまま聞いていた。
澄んだ泉には、手を繋ぎながらも少し離れて座る二人の姿が写っていて、
そのぎこちない姿が何故だか可笑しくなってきて、二人は笑った。
笑ってぎこちなさが解れると、会えなかった間を埋めるように、会話をした。
ライラがお婆さんの元気になった様子を嬉しそうにシンに話すと、シンも嬉しそうに頷き、
シンが、そうやって嬉しそうに話すライラの顔がとても可愛らしいと囁くと、ライラは頬を染め、
繋いでいないほうの手で自分の頬の熱を冷ましながら、シンの意地悪…と、また可愛らしく呟いた。
そうして目が合えば、また触れるだけのキスをし、
照れ臭さを隠すように、また会話をした。
取り留めの無い会話とキスを繰り返し、
いつしか泉には、寄り添う二人の姿が写っていた。