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極上年下彼氏

第70章 最後の部屋

最後の夜だった。


私と理人が二人で共にするベッドの上だ。


私が服を脱ぐと、理人は私の夕べの傷跡を目の当たりにした。


「朱美…ごめん…」


「謝らないで…もっと理人のしるしを残して。一生残るくらい…」


私は理人の首に腕を伸ばした。


私達は静かに愛し合った。


私は学生の頃、最後に過ごしたあの沖縄での夜の事を思い出した。


あの日、理人は私の上で泣いた。


後にも先にも理人の涙はあれ一度きりしか見たことがない。


なのに身勝手で幼い私はそんな理人の想いを簡単に切り捨てた。


理人はそれを怖れている。


でも、今夜の理人は泣かなかった。


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