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sex? or die?

第5章 Sector 5 Moon

時計をみると、二時を回っている。

四時には起きなきゃいけないから、今から寝るのは微妙な時間。

ましてや、あの人はいま私に会うために、
かなり過酷な移動方法で、近づいてきている。

不謹慎かもしれないけど、
普通に考えればありきたりなわたしの家庭に向かって、
凶暴な情熱を携えて向かってきている、
ある意味手のつけようが無い野獣のようなあの人と、
深夜の静寂に包まれた今のわたしの周囲の世界を比較すると、
そのあまりの非現実的なギャップは、
考えるほど、感じるほど、
現実味が無い夢のような出来事に思えてしょうが無い。

あと数時間もすると、あの人はわたしの前にきっと現れて、おそらく会ってしまったら、有無を問わず今度こそは目が合った瞬間、わたしのすべてを求めてくることだろうね。

この間はずいぶん遠慮がちだったけど、今回は、あのときより、もうすっかりわたし達はつながってしまっているはずだから。

例えあなたがどうとらえていようとも、それは事実。
あなたの想いを受け続けたわたしは、もしあなたが求めてきたら、何も拒絶できなくなっちゃってる。

おそらくそれは、
男に心を許すなんてこと、考えてもいなかったわたしにとっても、はじめての体験なの。

だから、ちょっと恐い…

月を見る。いつもは心を落ち着けてくれる満月が、今日はちょっと違う。

まるで月食のように、
月が雲に侵されている。
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