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対峙

第2章 episode 1

真新しい制服に袖を通す。
孤児院から二駅離れた高校に入学した。
本当はすぐにでも働いてここを出たかった。
ボクを知らない土地に行きたかった。

『急ぐことはないからね』

院長の妙な計らい。
正直嬉しくない。
相変わらずボクはひとりで、院長だけが直接関わりを持とうとする現状。
嫌いじゃない。だからといって好きでもない。
早くひとりになりたかった。
ボクは少し焦っていたのかもしれない。
通学の電車の中ではどうしたら孤立出来るかばかり考えていた。

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