対峙
第9章 episode endless
目の前には光彦と澤村が折り重なるようにして倒れている。
不自然な点は、ただひとつ。
2人とも朱色に染まりきっていることだけ。
ボクは呆然と゛それ゛を見つめている。
思い出していた。
あの日のこと。
あの小さな男の子は光彦だった。
記憶から消した友達。
そしてあの事件の犯人もボク。
ボクは何重もの殻に籠もっている感覚に陥る。
ボクは殻ごとボクという入れ物から抜け出して、ボクという入れ物を上から眺めていた。
表情はない。
目に光もない。
゛感情が欠落している゛
その通りになってしまった。
感じたことないくらい、悲しくて、悔しくて、怒っているハズなのに…
水滴ひとつ落ちないボクには、きっと感情がなくなってしまっている。
ここが見つかるのも時間の問題…
ボクはそれまで、ただ、ただ…その惨劇を見つめている。