対峙
第8章 episode -@小林光彦
月日は流れ、高校に上がった春。
僕は再び誠二と出会うことになった。
誠二は僕を覚えていなかった。
あの日のことすら忘れていた。
でもそれは、その頃には義父への愛憎が溢れていた僕にとっては好都合だった。
誠二には実の親殺し。
お義父さんには真実を伝えることが出来ないままいなくなってもらおう。実の息子の手にかかって。
幼少期同様に、誠二はまんまと僕に嵌る。
罪悪感なんてない。
被害者は僕の方だ。
お義父さんの過保護ぶりには、笑えさえした。
償う?
そんな言葉がお義父さんの口から出てきた時には、鳥肌がたったのを覚えてる。
なのに…
なのになんで僕はこの男の下へ行ってしまうんだろう。
誠二の色を失った顔も見れた。
お義父さんの絶望の表情も見れた。
それでも僕の中の゛なにか゛は消えない。
お義父さんに覆い被さるように倒れる時に、
―アイシテホシカッタ。
その言葉は僕の頭の隅に浮かんでは、消えていった。
僕は再び誠二と出会うことになった。
誠二は僕を覚えていなかった。
あの日のことすら忘れていた。
でもそれは、その頃には義父への愛憎が溢れていた僕にとっては好都合だった。
誠二には実の親殺し。
お義父さんには真実を伝えることが出来ないままいなくなってもらおう。実の息子の手にかかって。
幼少期同様に、誠二はまんまと僕に嵌る。
罪悪感なんてない。
被害者は僕の方だ。
お義父さんの過保護ぶりには、笑えさえした。
償う?
そんな言葉がお義父さんの口から出てきた時には、鳥肌がたったのを覚えてる。
なのに…
なのになんで僕はこの男の下へ行ってしまうんだろう。
誠二の色を失った顔も見れた。
お義父さんの絶望の表情も見れた。
それでも僕の中の゛なにか゛は消えない。
お義父さんに覆い被さるように倒れる時に、
―アイシテホシカッタ。
その言葉は僕の頭の隅に浮かんでは、消えていった。