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お告げ~INシンガポール~

第6章 章

「…教えて。」

「なんか言ったか?」

「なんで…カナダを壊滅したの?」

「指示されたから…そして…死にたくなかった…」

「意味わかんないから…支配側にも死んでる人はいる。死にたくなかったから指示に従い、死んだ人はなんだったの!?」

「梨絵!落ち着いて!!」

怒りをもろに出している梨絵を1日に二度も見るのは珍しい。
智恵は慌てて止めに入った。

「支配側でもバカな奴らは、死ぬだろうね!!バカな奴らは!!」

その言葉に、梨絵だけでなく、智恵の怒りにも火がついた。
「好き放題言わせておけば!!さっきから何なの!?」

「そうだよ!!章も知ってるよね?私の姉を!!お姉ちゃんがバカ?ならあんたは、最高にバカなんだ!?」

「夏帆さんのこと?あんなの、勉強は出来ても、頭は固いバカだよ!!」

「章だっけ?」
「覚悟ある?」

鈍い音が響く。

章の体は、後ろに倒れた。
「麻央…智恵まで…」
2人はほぼ同時に、章の顔面を拳を握りながら殴っていた。

章は痛みと驚きでポカーンとしていたが、一番呆気にとられていたのは、梨絵である。

「智恵が、殴った…」
智恵は今まで、誰かを殴るなんて絶対しなかった。

佐保と喧嘩して、佐保に殴られても睨むだけだった。
智恵が睨むととても怖い。
それで、佐保も逃げていった。

なのに、今智恵は章を殴った。
睨みつけずに、拳で殴ったのだ。

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