刑事とJK~続編~
第10章 爆弾狂の名
『ホホジロ…ザメ?』
「うん、サメの中では最も人間にとって危ない存在らしくてさ。
"ジョーズ"って映画見たことある?
あんな感じだよ」
『…そんな…獰猛なサメが…』
「水槽から逃げていたらの話だけどね」
ゆうひは震えた
何で…こんなことになっちゃったんだろう?
佳奈は、無事に外に逃げられたのかな…?
斉藤…怖いよぉ…
急に胸がキュンと狭くなった気がした
寂しさと恐怖が、自分の中で渦巻いている
「…怖い?」
小泉は、ゆうひの手を握った
『っ…な、何言ってんのよ!!』
ゆうひは慌ててその手を放させた
「ククッ、顔が怯えてたから」
『触んないで』
「はいはい」
それにしても、本当にどうしよう?
泳いで行くって選択肢は消えたし…
『あ、出口って爆発で塞がれたんだよね
瓦礫の隙間から水が出ていったら
そのうち水かさが下がってくるんじゃない?』
「"偽小泉"は、多分シャッターを下ろしてると思うよ
管理部屋にいるなら造作もないことだし
少なくとも俺だったらそうする」
『じゃあ、水は減らないってこと…?』
「ああ。
偽物は、ずいぶん遊んでるみたいだし」
ただ建物を壊したり、殺人したりするだけなら
一気に建物全部を吹っ飛ばせば済むことだ
それをわざわざ、客を追い詰めるように逃げ道を塞いだということは
偽物はこの状態を楽しんでいるに違いない
人がパニックに陥っているところをよく見ようと思うなら、
監視カメラの映像が全て見れる管理部屋にいるはずだ
…そう小泉は踏んだ