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刑事とJK~続編~

第3章 トムおじさんの正体



――――――――――


ゆうひは涙を浮かべ、しかし、流すまいと口を強く結んだ



「…」



さぞ悔しかったに違いない…



斉藤は敢えて何も言わなかった



かわりに、トムに話し掛けた



「オッサン、人が死んでも冷静なんだな…」



「斉藤さんも、そうでしょ?」


「…オッサン、名前は何ってぇんだ?」



「だから、私はトムでーす」



「日本名だ」



トムは自分のおふざけに全く反応しない斉藤を、少しつまらなく思った



「当ててみて下さーい」




「…」




「少し難しいですかねー」





「…長谷川…」





『!!?』



その名前、どこかで聞いたこと…



あ、まさか…!!





トムはニッコリ笑った


しかし、あの陽気さはなかった



「大正解。
さすが、覚えていてくれたか」



「…何で、生きてんだよ…?」



「え、死んでて欲しかった?」




「馬鹿野郎、生きてたなら、そう言えよ!!!」





トム、いや、長谷川はまたニッコリと笑った






『…長谷川さんって…』



確か、斉藤に刑事の道を示し、刑事のノウハウを教えた…


斉藤の恩人じゃ…




『え、でも斉藤、長谷川さんはアメリカで働いてるって言ってたじゃん…』



「斉藤、お前そんなこと言ってたのか?
ゆうひちゃん、実はこいつには"長谷川はアメリカで死んだ"って伝えてあったんだよ」




『何でそんなこと…』




「こっちもいろいろ都合があってねー
って、うわっ」



斉藤のパンチを、長谷川は避けた



「いきなり何するんだー斉藤?」



「るっせぇ!!
生きてたならそう言えってんだ!!」



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