刑事とJK~続編~
第3章 トムおじさんの正体
斉藤は怒っているように見える
が、ゆうひと長谷川には、それは嬉しさの裏返しだということが手に取るようにわかった
「まあ斉藤、落ち着け」
長谷川は斉藤をなだめた
「…」
斉藤は手を下ろした
『…』
なるほど、長谷川さんがあたしを助けてくれたとき
何で斉藤と間違えたのかがやっとわかった
斉藤に、全てではないとはいえ、格闘を教えたのが長谷川さんなら
動きが似ていても仕方ないな…
「…長谷川さん、何で言ってくれなかったんだ?」
…生きてたってこと…
「アメリカでの犯罪捜査に当たって、銃で撃たれたのは事実だ」
長谷川は服をめくって、腹に出来た生々しい銃痕を見せた
『っ…』
見ていると自分の傷痕まで疼き、ゆうひは自分の腹を押さえた
「瀕死の重体になってね…
もう助からないと判断されて、仲間の刑事が俺の日本の知人に、早まって手紙を出してしまったんだ。
長谷川は死んだってね」
その手紙がオレのところに届いたのか…
「でもそこから劇的に回復してね。
"やっぱり生きてました"って連絡するのがめんどくさかったから
何も言わないでおいたんだ」
ははははと長谷川は大笑いした
「こっちがどれだけ落ち込んだか…」
と、斉藤は手を震わせたが、手はあげなかった