
刑事とJK‡番外編‡
第6章 目ぇ覚ませ
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「ゆうひ…」
綺麗な顔をしたゆうひは、もうかれこれ一週間、目を覚まさなかった
斉藤は毎日のように仕事終わりに見舞いに行くが、何も変化はない
斉藤は椅子に座った
何も無いよりは、と思って
その日にあったことを話す
「今日は吉川とじゃんけんして勝ったから、昼飯おごってもらったわ
おめぇはそんな血管から物食ってうめぇのか?」
斉藤は、ゆうひの腕に繋がった点滴を眺めた
「すっげぇまずそうだし…
今度は一回、オレが飯作ってやんよ
実はまあまあ作れんだぞ?」
呼吸で胸だけが上下に動くが、あとはピクリとも動かない
「ってかよぉ、そろそろ目ぇ開けてもいいんじゃねぇか…?」
顔色はいい
だから、今にも目を覚まして、笑いかけてくれる気がした
「一人でしゃべんの…結構…飽きてきたし…
返事がねぇと、オレかわいそうな子じゃねぇか…」
斉藤はゆうひの手を握った
「目ぇ覚まさなかったら…オレ…おめぇに渡せねぇだろ…?」
お前に渡すための…
指輪…
「…」
オレ、ゆうひと出会って弱くなったな…
ここ何日かで、なんべん泣きそうになったか…
