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君が欲しい

第17章 僕の指

日曜日の午後だった。


僕の家はキッチンとリビングは一緒のいわゆるLDKだが、さらに続きの部屋があり、
昔はデカいピアノがあって、親父とお袋がよく使っていた。


今はそのデカいピアノは店に移動して、
二階には電子ピアノがある。


電子ピアノはコンパクトだから、続きの間はただ絨毯だけが敷かれ、殺風景な部屋だった。


僕はそこでうつ伏せになりながら、楽譜を見ながらアレンジ中。


君はキッチンで何かしていた。


「南君、葡萄食べる?」


「ーん」


僕は手を休めず返事した。


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