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君が欲しい

第5章 友達

ある日の昼休み、音楽室からピアノの音に耳を傾けた。


いつもなら気にならないのに、無性に気になった。


僕の足は勝手に音楽室へ向かう。


音楽室のドアのガラス部分から、そっとその弾き手を見ると…


それは君だった。


ショパンの美しい繊細な音色を奏でる指先と、
真剣な横顔が、窓からの光で影のように縁取って見えた。


あまりにも美しく君の全てに泣きたくなる。


僕は暫くその光景をショパンの音色と共に眺めていた。

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