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君が欲しい

第28章 落胆

結局、僕は一度も気持ちを伝えた事はなかった。


僕は自分の気持ちを言うのが苦手だ。


自分の気持ちを隠して話す方が楽だから。


そんな僕を君は見透かしていたんだと思う。


次に好きになる人はもう少しバカな女にしよう。


嘘が見破れない女にしよう。


まあ、いつになるかは分からないけど。


ただ困った事があった。


僕の中から音が生まれてこなくなった。


慶友さんは焦らなくていいって言ってくれたけど、焦るから。


そしてもう春だというのに、君のいない隣は恐ろしく寒かった。


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