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君が欲しい

第8章 嘘の代償

「俺が仲村だったら、佐伯さんが事実を言ってもムカつくね。」


「それでも、南君が平然と嘘つく方が、私は悲しい。」


僕が嘘つくのが悲しい?

ワケ分かんねー。


「俺は優しい嘘もあると思う。」


「違う。南君の嘘は自分の大事な世界を守っただけ。」


「俺の世界?」


「そう、南君のジャズの世界を仲村君に見せたくないから。」


君は鋭い。


「…そうかもね。普通の17歳のガキには理解できないと思ってるよ。」


正直に言った。


「南君も私も普通の17歳だよ。」


「でも、音を理解してる。」


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