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眠れぬ王子と猫な僕

第16章 誓いのリング

side瑛兎


















すっかり冷えきった妖巳の手を握りしめて、夜の病院のベッドの横に座っていた。










祈る様に目を閉じて、必死にその手を温めた。

















「瑛兎様、その様な服装では風邪を引かれてしまいます。」











後ろには付き添ってきた明日香が心配そうに立っている。













「いいんだ。こうしてやった方が妖巳も落ち着くから」











俺は自分が着ていた上着を妖巳が被っている毛布の上に置いていた。
















何時だったかな………











妖巳は俺の匂いを嗅ぐと落ち着くんだ、と照れたように言っていた。


















妖巳の容態は、良くない。















生きるか死ぬか、解らないと医者は言った。














優秀な医者が言ったのだから、信じたくなくても説得力がありすぎた。















妖巳の容態が悪いのは、殆ど食事をしていなかった上に












腕の傷やその他の傷もまだ生々しく残っていたからだった。











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