眠れぬ王子と猫な僕
第3章 脱出
〜〜次の日
「妖巳、起きろ。餌だぞ。」
髪を掴んで揺さぶられ、目が覚める。
「大野、さん……?」
気付くと首輪は外されていて、両手も自由になっていた。
この人は大野璃依(オオノリイ)さん。20歳で顔の整った元ホスト。
母さんの愛人で、僕が死なない位の頻度でご飯を持ってくる。
すぐに僕を殴るし、たまに、無理やり相手をさせられる。
僕は大野さんが怖い。
だから……………逆らえない。。。
大野さんは僕のトラウマの1つだ。
「さっさと服を着ろ。ほら、餌だ。」
コンビニで買ったであろうツナ缶とパンを床に撒く。
「ほら、食えよ。床に這いつくばってさぁ!!」
大野さんは楽しそうに、眺める。
服を着終わった僕は、言われた通りに床に撒かれたご飯を食べる。
お腹が空いている分、必死になって食べる。
そんな僕の姿が面白いのか、後ろで大野さんの笑い声が聞こえる。
「昨日は随分激しくヤられたんだって?あのオッサン喜んでたぜ。なぁ、俺のとどっちが快かったよ?」
顎を持たれて無理やり上を向かせられる。
「ん、お、大野さ、んぐッ、ンン、ふぅァ///」
言い終わる前に口を塞がれる。
舌が絡み合って、クチャクチャといやらしい水音をたてる。
「お、おの、ンッ、さぁん…ふっ」
「あぁ、まじ可愛い。言えよ、俺が一番大好きだって。俺がいないと生きていけませんって。」
熱におかされて、狂ったような瞳で僕を捕らえて、囁く。
「あ………大野さんが、一番、大好き、です。大野さんがいないと、生きて、いけません。」
僕がそう言うと満足そうな顔をして、もう一度唇を重ねる。
そして、
「いつか俺の物にしてやる。」
と呟いた。
うまく聞き取れなくて首を傾げた僕を横に押しどけて、玄関へ向かう。
「俺はこれからお前の母さんに呼ばれてるからな。もう行く。次はヤらせろよ。」
そう言った大野さんの声は、興奮しているように聞こえた。
ガチャン
大きな音をたてて、ドアがしまり鍵が掛かる。
「――――あ。」