テキストサイズ

眠れぬ王子と猫な僕

第3章 脱出










僕は慌てて立ち上がる。





「うっ………」






昨日の行為のせいで、腰が痛くて倒れそうになる。






でも、逃げなきゃッ!






こんなチャンス、きっともう二度とない。







ありったけの力を振り絞って、僕は玄関へ向かう。






「あれ?――あぁ、そうか……。」






当然ドアには鍵がかかっていて、内側からは開けられないようにされている。



母さんが万が一に備えてしたのかなぁ。






「どうしよう…。」






この部屋からそとに繋がるのはこのドアと、、、




小さな窓。










でも、窓ガラスが割れているから、ただでさえ狭くて簡単には出られそうもないのに………









この分だと、身体中が傷だらけになるだろうな。






でも、この窓しかないんだ。






意を決して、窓へ向かって手をのばす。






「うっ、痛ッ!」






窓枠に置いた手に、体重をかけると尖ったガラスが刺さる。







そのまま一気に、頭を入れて強引に体を引き抜く。



服の破ける音と自分の体をガラスが引っ掻く音が聞こえる。






やっとの想いで、あの重苦しい部屋から脱け出せた。










これでもう自由だ。







眩しく輝く太陽が僕を照らす。






身体中から血が滴って傷が痛む。







だけど、そんなの気にならないくらいの感情が僕を満たしていく。











――――夢みたいだ…






「でも、この服じゃどこにも行けないか。」






汚れて、所々破れている服をみて、現実に引き戻される。






とりあえず夜までどこかに隠れていよう。





そうして、近くの公園の木陰に隠れてしゃがみこむ。













気がつくと、僕は眠りについていた。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ